「…なんだ、久瀬か。お前こそ急にどうした…?」
それは先生も、同じだったようで先程までの勢いはどこに行ったのか、面食らったような表情を浮かべている。
「いや、先生がそんなに怒るなんて珍しくて、つい声かけてしまいました。あ!あのですね、実はこの前の古典の小テストで質問があったんですよ…今よろしいですか?」
そう言って、久瀬先輩は爽やかな笑みを浮かべ、慌てる先生に問いかけた。
「お、おぉ…。久瀬みたいに優秀な生徒には必要ないだろうが……そこの1年生、今日は大目に見るが次からは気をつけるように。そしたら、久瀬、職員室でいいか?」
「はい、大丈夫です。急にすみません」
去り際に、“早く行け”とでも言うように玄関の方を指差す久瀬先輩。
その時はじめて、久瀬先輩が助けてくれたことに私は気づいた。
…久瀬先輩、ありがとうございます。
心の中で、そう呟き私は急いで靴を履き替え、バス停の停留所まで走る。



