恋と、嘘と、憂鬱と。


ガラッ。


廊下から部室に戻り、私はパタパタと、小走りで机の上に置かれた自分のバッグを手に掴んだ。


「…季里ちゃん、どうかしたの?慌ててるみたいだけど」


莉里花先輩にそう声をかけられるも。


「す、すみません…急用ができたので先に帰ります…!真凛ちゃん、ゴメン。先に帰るね!後でまた連絡する」


「え?う、うん」


先輩や真凛ちゃんに説明する時間も惜しくて、それだけ告げると私は教室を飛び出していた。


「…季里ちゃん、何かあったのかな?心配だね…」
 

「確かに堀田にしては、珍しくなんか慌ててたしな」


「……」


部室内で霧谷先輩や速水先輩がそんな会話をしている中、私の走り去る姿を久瀬先輩がジッと見ていたことに、この時の私は気づいていなかったんだ。