「てーれんっ今日は何の日でしょう!」

「クリスマスだけど…?」

にぶにぶの君は,こんな日に誘われても平気でついてくるような奴だ。

「ぶっぶー! 恋する女の子の日です」

ここまで言ってもピンと来ないように首を傾げている君に,ちょっと腹が立つ。

も~っ可愛んだよちくしょー!

「…す…好きなんだよ……バカ」

何度も練習したのに言いよどんでしまった。

それよりもにぶにぶの君にちゃんと伝わっただろうか?

不安げに見上げると……彼は嬉しそうに笑っていた。

「上目遣いとか,ほんとずるいよね。あ~あ長かった。ずっと待ってたんだよ?」

にぶにぶの君は一体何処に行ったのだろう。

君は私を軽く抱き締めた。

ほんの少し空いた空間が逆に恥ずかしい。

「さっきの問題の答え,間違ってるよ。」

「え?」

「今日は僕たちの記念日だ」

私が意味を理解するより早く,君は私に軽いキスを落とした。