2人で,輝く世界をテレビ画面越しに見る。
「あ~あ。今年も2人寂しくケーキかぁ」
つまり,そう言うこと。
「んま,いんじゃね?」
「よくないよ~。あんたなんかせっかくモテるのに…」
気に入る子が居ないなんて逆に不憫だ。
今後に希望が持てない。
「まぁ。こればっかりは来年にご期待,かなぁ」
「…今年でも,叶うかもよ」
…え?
じっと私を見つめる瞳。
「…冗談よしてよ。私が誤解されないようにどれだけ苦労してることか」
本当に,幼なじみって響きが特別に聞こえるから。
肩をすくめて見せたが,何の反応もない。
「え? マジでいってんの?」
だらけた姿勢を少し直す。
幼なじみなはずのそいつは,頬だけを静かに染めて,答える代わりにキスをした。
…今日,画面の向こう側にいなくて良かったかもしれない。
こんな顔,他の誰にも見せられない。
それに…向こうにいることに成功していたらきっと,こんな日は来なかった。