人混みの中,僕を見つけて走ってくる,君の可愛い笑顔にきゅんとしたのは僕だけの秘密。
「ごめんね。人混み,嫌じゃなかった?」
「ふっ」
ほんとに君は。
君を待つ時間が嫌だなんて,何処であろうがありはしない。
僕が笑った理由が,君には分からないようだった。
「メリークリスマス。これ,定番だって思う?」
今日唯一の不安。
勿論心を込めて選んだ物で,中身はマフラーだ。
君は中を確認すると呆気にとられた顔をする。
そしてキョトンとする僕を見て,君は嬉しそうに,そして楽しそうにクスクスと笑った。
「じゃあ私からも,定番だって思う?」
僕は彼女が僕を真似るように言うのを見ながら受け取り…理解した。
「ふふっ。お揃いだねっ」
同じマフラー。
しかも,色ちがい。
君がそれを喜んでいる事も含めてとても嬉しい。
「あっ」
可愛い君が無邪気に声をあげる。
「ホワイトクリスマスだよっ!」
僕達は2人ただ笑いあった。