「……ねえ、りっくん」
「うん?」

「ウワサで聞いたんだけど」

「なーに?」

「なんでキスは、してくれないの?」


肩を押してシーツに沈んだ彼女は俺のことを見上げた。



「……俺のこと好きになったら困るから?」

「え、」

「キスは、俺が好きな女の子しかしないから、ダメ」


わかりやすく傷ついた表情を見せられたのでこちらが萎えた。冷たい視線を下ろせば、彼女は自らリボンを外してこちらを求めるように手を伸ばす。
もしかしてこの人、ワンチャン俺に本気になるつもりだったわけ?



「キスしてほしいなら、先輩とはヤんない」

「え、全然いいよ!キスしなくていいから、しよ?」

「ハハ、そんなに欲求不満?」

「ひどい、意地悪言わないで」

「図星ってこと?先輩のえっちー」


顔を真っ赤にして図星を食らった女。女の子を苛めるのは好きなので、こういう顔は嫌いじゃない。このまま全部自分で服を脱いでもらおうと年下っぽくかわいくお願いすれば、恥じらいながらも頷いた。ほんとちょろいな。


「はーい、そこまでー」

「っきゃ!?」

「璃月クン?女の子に手を出すなら一番奥のカーテン開いてわたしがいるか確認してからにしてって言ったの忘れた?」

「あー、そうだっけ。覚えてねえ。つーか覗き?趣味悪」

「ぐっすり寝ていた私の睡眠を邪魔した気持ち悪い会話が聞こえたから」

「いるなら不在中って貼るなよ」

「あれは“先生不在中”なだけで生徒がいないとは書いてませんけど?」

「だっる」