いよいよ美織の結婚式当日となった。和真からは「あとから行く」とLINEが入っていた。

和真は今回新郎側の友人として呼ばれており、ひなこは新婦側の友人として呼ばれていた。おなじ新婦側の友人として呼ばれている子と会場まで来た。

会場に入ると、そこはシックでお洒落な空間だった。手前にはバーもあり、ひなこは普通に小日向さんと来たいなとも思った。

ただ、今日はこの後、一ヶ月ぶりに小日向さんと会えるので、そっちに心が向いていた。

一緒に来ている友人は、小日向さんのことを知っているので、「ひなここの後のことしか考えてないでしょ」と鋭いことを言った。

ふとLINEを見ると小日向さんから連絡が入っていた。店を予約したことと、エリート社員は来れないことが書かれていた。ひなこはやはりかと思い、美織に送ると、「友達おらんなそれは」と美織から返信が来た。

ひなこはそれを小日向さんに送ると「僕、大学時代友達三人でした」となんとも悲しいLINEが返ってきた。小日向さんは東京の大学に行っていたはずだがとひなこは思ったが、とにかく残念な人だなと思ったのだった。

ふと受付を見ると、和真がいた。和真は「よぉ」とひなこたちに手を振ると、ひなこは「あら、意外に早かったじゃん」と言った。

和真は、「全く受付とかダルすぎんだけど」とこの場に似つかわしくないことを言っていたのだった。

係員が世界のビールのお試しを配っていたのでひなこは受け取った。それを飲みながらしばらく会話し、挙式会場の開場と共に部屋に入っていった。

部屋に入るとそこは草花で装飾され、幻想的な空間になっていた。ひなこは綺麗と写真を沢山撮った。

しばらくすると音楽がかかり、挙式が始まった。新郎に続き、新婦が登場し、誓いの言葉、誓いのキスを終え、会場は盛り上がった。

ひなこは沢山写真を撮ったので小日向さんに送ると、「綺麗ですね」と珍しく好意的な返信が来た。ひなこはこの人にも美しいと思う心があるのかと失礼なことを思った。

披露宴会場に移動し、更に催しは楽しいものとなった。途中のケーキ入刀からあーんなど、動画に収め、その度に小日向さんに送ると、「いや結婚式に集中しなさい」と来たのだった。ごもっともと思いつつも、「私も結婚したいなぁ」と送ると、安定にスルーされた。

隣に座る拓夢くんとは久々の再会を果たしたが、彼は国立大学を二浪して中退し、さらに友達と先輩に誘われたマルチ商法に引っかかっており、百万の借金を抱えていた。ひなこは人生色々あるんだなぁと他人事なことを思った。今はパチンコ屋でバイトしているらしいが、「俺、もういつ死んでもいいわぁ」と冗談か本当か分からないことを口走っており、ひなこはこいつ大丈夫かと思うのだった。

帰りに拓夢くんに飲みに誘われるが、「今日はイケメンとのデートがあるから」と得意げに言い、また今度という話になった。

拓夢くんは割と暇そうなのでひなは良い飲み相手が見つかったぞと思ったのだった。