大学に行くと、風邪が治った和真が来ていたので、久しぶりに三人揃った。ひなこが「あんた最近よく大学来てるじゃん」と言うと、「いつも来てますよ」と佳音が怒るので「どこがよ」とひなこは言った。和真が「いや、まずはこっちに触れろよ」と口を挟んできたが、ひなこは「あんたは正直どっちでもいい」と言った。和真はへそを曲げて、そっぽを向いた。

教授が教室に入ると、その教授は怖いと有名なので、教室は途端に静かになった。佳音がひそひそと和真に「写真送りましたよ」と言うと、和真が「お、ええやん」とテンションを上げて言った。すると、教授にその声が聞こえたらしく、ものすごい怒号が教室に鳴り響いた。

教授が再び講義に戻ると、佳音が「うえーん」とひなこにすがるような声を出すので、「いや、自業自得でしょ。なんなら、私の方が怖かったし」とひなこは言った。

和真は怒られたことすら頭にないようで、佳音からもらった写真をいつになくニヤニヤしながら、講義そっちのけで見ていた。その中に、佳音の自撮りのどアップが入っていたので、ぶっと吹き出し、「お前のはいらねーよ」と呟いた。ひなこは「なにが」と言うが、和真は「何でもねーよ」と言うと、すぐにスマホを机の下に入れた。佳音はその様子を見ながら和真に「ばーか」とあっかんべえをしていた。和真は「ふざけんな」とひそひそ声で返した。するとまた教授がギロリとこちらに睨みを利かせたので、二人はさっと前を向いた。