今日の大学ではひなこは和真と二人だった。もはやひなこからしたら、和真は空気のような存在で居心地が良かった。なので、珍しく和真から糸島ドライブに誘われても特に何も思わなかった。佳音も誘うかという話で和真はいいやと言ったので、事実上のデートみたいなものだが、ひなこは特に気にもしなかった。後から聞いた佳音は「私、ハブじゃないですかー」といつもの調子で怒っていたが、糸島プリンを買うというと、機嫌を直したのだった。

和真は佳音と話すひなこをこっそりと眺めていた。最近増える小日向さんの話に自分は対抗しているんだなと自分らしくない自分を自覚し、嫌気が差す。俺のペースはどうしたと、自分の方が隣にいて、話しているのに、どうしてこんな距離感が変わらないままなのかと思案する。答えは出ない。

いつかをもう待ってる時間は無い。ひなこが自分の気持ちに気づかないなら、もう自分が行動するしかない。和真はそう心に決心を刻むのであった。