玲央は仕事が終わると、今日はこころに連れられて、近くの居酒屋に来ていた。

ここのところ、玲央はこころに連れ出されては、小日向さんとひなこの愚痴を聞かされていた。玲央としては自分はひなこが好きなので、あまりそちらについての愚痴は聞きたくなかったが、小日向さんの愚痴は大歓迎とばかりに意気揚々と話していた。

こころはサングリアを玲央の前でガバガバ飲み、「お前、それはそういう風に飲む飲み物じゃねーぞ」と突っ込まれていた。しかし、「これが飲まずにやってられますかぁ」とこころは今日も玲央にダル絡みをしていた。

「大体、なんで私はこんなに可愛いのに、てかひなこさんよりかなり可愛いのに、小日向さんが選んだのはひなこさんなんですか」と大声で言っていた。「お前静かにしろよ」と玲央は呆れたが、「そりゃ俺だって、ひなこ選ぶわ」ととどめを刺された。

こころは「ひどいじゃないですか。仮にも同じ会社なのに。玲央には私の魅力なんて分からないのよ」と言い、玲央の腕に手を回した。玲央はそれを見て、「おいやめろよ。気持ちわりー」と嫌な顔をした。するとこころは「なんでこんな美人に腕組まれてるのに」と玲央にさらに抱きついた。

玲央は呆れて「ほんとお前はしょうがない奴だな」と抵抗するのをやめた。そして「お前は普通にしてたら可愛いのにな」と言った。こころはそんなこと言われると思ってなかったので、少し恥ずかしくなり、玲央から体を離した。

玲央は「やっとかよ」と言い、ハイボールを飲んだ。こころが「小日向さん」と言うので、玲央は「違うぞ」と言った。するとこころは「違う、ハイボールは小日向さんが好きな飲み物」と言い、自分が全てそれを飲み干した。

玲央は「お前ほんと勘弁してくれよ。自由すぎるだろ」と言った。こころは一気に飲んだのでさらにグデングデンになった。あまりにもフラフラで危ないので、玲央は自分の肩にそっとこころの頭を乗せ、「ほら、ここで落ち着いとけ」と言った。

こころはまじかと心臓の鼓動がいつもより早くなっているのを感じた。そして、「玲央って私のこと好きなん」と言うと、「そんなわけあるか」と言い、「お前後輩だろ」とタメ口を使ったことを指摘した。

こころは自然なまどろみの中でそっと玲央の肩の体温を感じた。

そしてしばらくして目を開けると、「ありがとうございます」と玲央の頬にキスをした。玲央はもうされるがままになり、「どうも」と言い、こころの飲みかけのサングリアを飲むのだった。