屋台に着くと「よぉ」と、廉さんが手を振ってくれた。「お前の二の腕相変わらずやべぇなぁ」と隣から店長のよしまさも顔を出した。

「余計なお世話」とひなこは言いながら、まだガラガラの店内の奥の席に座った。

「何飲む？」と廉さんがいつものように聞いてきた。「なら、カルピスサワーで」と慣れたようにひなこは注文した。

ピロンとスマホが音を立て、美織からのLINEが来る。「あと一時間かかる」と素気ないLINEだった。

この手のことは美織にはよくあるが、せめてごめんぐらいは言ってくれればいいのにとひなこは思うが、特に気にもしなかった。

すると、廉さんがニヤニヤしながらこちらを見ていた。きっと良いことがあったんだろうと、ひなこは「どうしたんですか？」と聞いた。

「彼女ができたんだ」と廉さんは照れ臭そうに言うと、「今度は結婚までいける相手」と自信満々に言った。

ひなこはどうせ冗談だろうと思い、「今度は誰ですか？美玲ちゃんですか？綾香ちゃんですか？」と呆れ顔で言った。そして、「証拠として、LINEを見せてください」と言った。

以前も、同じようなことがあり、その時もLINEを見せてもらった。本当に存在していたが、しばらくすると俺が冷めたと言い、別れたことを聞いた。

どうせ、本当だったとしてもすぐに別れるだろうとひなのは思うのだった。

そして、「なぁ今度、デートしようぜ」と廉さんは言うので、「はぁ？彼女いる人とは行きませんよ」と言い返すと、「あれは嘘だよ」と言われ、やはりかと思った。

ひなこは何だったんだと思うが、廉さんはいつも気まぐれなので特に気にしなかった。