メモを見ると....

1と2と4と5と6がある。3だけない。

私の単純な推理力だと3がキーワードに
なることはあながちわかる。

私にはサンが欠けている。

3....
でもなんだろう。3をいみする。

待って.....まったくをもって推理が外れている
場合がある。
何か私の中で推理だけが先行している。

まず棚の番号で探してみよう。

私は古書たちを端から端までゆっくりずっと
まず眺めた。
訳がわからない本だらけだが
ときどき手にとってみて表紙だけ見てみて....

『答えはすぐに見つからないよ』

ん、.....何か今、聞こえた気がした。
あちらからサキさんがお声かけでもしたの
だろうか。

"チクタク" チクタク"と、
遠くから秒針が動く音が頭に響いてくる。

ひとつずつ本を手にしても
まるで古書はよくわからない。

アフリカの砂漠地帯の写真集、

女の人のヌード集、

数世代前のゲームの攻略本、

私にとっては理解しがたい本だらけだが、
持ち主やその関係者、その世代の読者にとっては
想いが大変詰まったロマンと宝石のような
かけがえのない本...........、だった。

しかし 時間と空間が過ぎると全て過去と化し、
想いも全てサキさんが管理するものに
               過ぎなくなる.....

私はヌード写真集コーナーに行って
     しばらく写真集をペラペラと
                めくった。
この美しい女の人たちもかつては毎晩のように
     羨望されて眺められていたのに
   飽きられると押し入れに入れられ
 見向きもされず    今では古書棚行き


私も今は し......のり さんやらに好かれてるかも
しれないし、  他だってキープみたいな感じで
       好みの人みたいな感じでいろんな人にたぶん思われてるけど、

   大切なヌード写真集やゲーム攻略本みたいに
いつの日にか
      ゴミみたいにあっさり捨てられて
好きだと言っても
      必ず    見限るんでしょう??



私はさらに進んでいった。奥へ奥へと。
歴史コーナーに差しかかった。

案内をよく見てみると
サキさんのメッセージが書かれている。

『歴史を知ると意外と現在の位置、未来の位置が
見えるわよ。目を瞑って、思うままに進んで
ぱっと本を手にしてみてね?』

私はサキさんの言う通りに進み番号を目指した。
214番の本それは、


【千利休の茶室の空間へのいざない】

であった。

『茶室の空間は誰にも邪魔されることなく
     ただお茶を淹れるだけの空間

そこの空間は茶を楽しみ
    そして礼だけを言い終わる

お茶を淹れるマスターに逆らうことは
   何人たりとも行えず所作通りに
従う ことしかできない  
    お茶を味わうその一雫に
  幸せがあり その茶室は独つの
                 宇宙である』

「わぁ!すごい...」
まるで
私の目指している生き方を極めた人ね?
こんなふうに極めたいとまでは行きつかないけど

お客さんにコーヒーを味わって幸せに
なってほしいな、は共感できるな。

私は気になった言葉があった。
独つの宇宙、
わたしたちの職場、アイムズコーヒーも
独自の宇宙だろうか?

この本にカリっときたように
意味深なキーワードに引っかかった。

独つの宇宙、、ひとつの、

利休さんは宇宙だから外には出れない。
入ってくる人も宇宙では茶室、
スペースシップのみ。

つまり他の場所、他の宇宙では接点がない?
とでも言えるみたいな 表現。

何やら怖いわ、サキさんの古書店は。

過去の情報を知るとまるで未来の自分が           見えてくるような
臆してしまう感覚すらある。怖い、


続く215番。。