夜が明けたら君に幸せを。

「初恋だったのよ…。本当に大切な人だった、大好きだった…。裏切られることがどんなに苦しいか、あんたにはわからないでしょ!あんたのせいで私の人生は滅茶苦茶よ!どうして…。こんなことになるなら、あんたなんて産まなきゃよかった!」


「…っ」



我慢できなくなり家を飛び出す。



「うわっ、明日香…?」



家を出て適当に右に曲がろうとすると、なぜか制服姿の朝陽がいてぶつかりそうになる。



「朝陽…?」


「もう体調大丈夫なの?プリントとか色々持ってきたんだけど…え?どうしたの?」



朝陽の顔を見たら気が抜けたのか涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。



「…そっか。お母さんとうまくいってないんだ」



家の前で泣いていると近所の人に何事かと注目を浴びてしまうので、近くの公園に移動する。


夕方のチャイムが鳴った後だからか遊んでいる子どもは誰もいなく、朝陽とブランコに腰掛けながら初めてお母さんとうまくいっていないことを人に打ち明けた。



「…私のせいなのかな。気づかないフリしていれば、お母さんは今でも幸せな人生だったのかな…。ううん、違う。私がいなければ…」


「明日香。それは違うよ。明日香のせいじゃない。気づかないフリをしたってしなくたって、明日香のお母さんが傷つく未来は変えられなかったんじゃないかな。…だから自分がいなければなんて、俺みたいなこと言わないで。俺は明日香がいるこの世界が大好きだよ。明日香と出会えてよかったって思うよ」