夜が明けたら君に幸せを。

「…うん。ごめんね、気づいてあげられなくて」



玲音はいつも私を気にかけてくれて、どんなに小さな異変でも見逃さず寄り添ってくれていたのに、私は何も気づいていなかった。


元の世界の玲音は毎日どんな思いで過ごしていたんだろう。


どうして私はそんな玲音の元に行ってあげられなかったんだろう。



「明日香に話したおかげで、随分楽になったよ。ありがとな」


「そんなことないよ。…でも玲音が救われるなら、これからはもっと私のことも頼って。玲音にはいつもお世話になってるから、ちゃんと返したい」



この世界ではもう、同じ失敗を繰り返したくない。


玲音を救ってあげたい。



玲音は「ありがとう」と優しく笑った。


この笑顔を、なくさないためにも。





「もうあっという間に夏休みが来るねー。ねえ、明日香!いっぱい遊びに行こう!」


「うん、そうだね。海とかも行きたいな。玲音とも小さい頃はよく行ってたよね?」


「ん?ああ、そうだな」



心配していたけど、この世界の玲音はちゃんと毎日学校に来ていた。


なんとなく一緒に行くことも定着してきて、毎日家を出ると必ず玲音が待ってくれている。