夜が明けたら君に幸せを。

家の前で待っていてくれた玲音が、出てきた私の顔を心配そうに覗き込んできた。



「うん、大丈夫」


「そうか」



風邪を引いてから玲音とは毎日メールのやりとりをしていた。


内容はその日にあったこととかしたこととか、そんな他愛もないことだったけど、そのおかげでここ数日穏やかな気持ちで毎日を過ごせた。



「そういえば…柏木が明日香のことすげぇ心配してた」


「…柏木、さん」



カラオケに行った日から会うのは今日が初めてだ。


嫌な感じでわかれてしまったから、もしかしたらもう話しかけてもらえないかもしれない。



「…?」



…なんだろう、この気持ち。


話しかけられないことは望ましいことなのに。



なのに、なんで…。



「あ、如月さんー!おはよう!もう体調は大丈夫なの!?」



あの日の私の態度を全く気にした素振りもなく、いつも通り笑顔の柏木さんと、ちょうど校門の前で鉢合わせてしまう。