夜が明けたら君に幸せを。

この声は、玲音だ。


聞き慣れた唯一信じている人の声に、心が少しだけ落ち着く。



「帰ろう、明日香」


「…うん」


「…如月さん」



びくりと体が震える。


返事をしようか迷っていると、肩を抱いていた玲音の力がぐっと強まった。



「もう、こいつに関わんないで」



玲音の言葉に汐江くんは何かを言おうとしていたが、ぐっと堪えて口を閉じた。



「…またね、如月さん」



それだけを言うと、汐江くんは悲しそうに顔を歪めて来た道を戻っていった。





それから土日も挟み五日間、私は風邪を引き学校を休んだ。



「熱、もう平気なのか?」