夜が明けたら君に幸せを。

そんなこと思う資格なんて、私にはない。



「待って、如月さん!」



ぐいっと突然腕を引かれ、驚いて振り向くとそこには息を切らした汐江くんがいた。



「…なに。離して」


「はぁはぁ…っ、待って。もう、帰っちゃうの?」


「…そうだけど。元から行きたくもなかったんだから」


「さっき、言いかけたことなんだけどさ、どうして連れてきたのかって質問の答え。如月さんはさ、行きたくないって口では言ってるけど、本当は心のどこかで行きたいって思ってるんじゃない?」


「…そんなこと、思ってない」


「気づいてないかもだけどさ、如月さん、時々すごく悲しそうな寂しそうな顔でこっちを見てる時あるよ。あれって、本当は話に参加したいって…」


「思ってない!私は一人でいいの!お願いだからもう、関わらないでよ!」



汐江くんの手を振り解こうとするが、びくりともしない。



「離して!」


「離さないよ。今ここで離しちゃったら、もう二度と如月さんの本音を聞けない気がするから」


「本音って…私はいつだって本当のことしか言ってない。もう嫌なの。人を信じて裏切られるのは、もう嫌なの…」