夜が明けたら君に幸せを。

不機嫌そうだったが案外あっさりと去っていった男の人たちに、ふぅと小さく息を吐き出す。



慣れないことはするものじゃない。


この一瞬だけで尋常じゃないくらいの手汗をかいてしまって少し気持ち悪い。



「如月さん、ありがとう!」



突然両手を取られ、ぱぁと顔を輝かせて可愛く笑う柏木さんに呆気に取られる。



「え、あ、うん…」



人にお礼を言われたのなんていつぶりだろう?


なんて返すのが正解かわからなくて、とりあえず小さく頷いておく。



「本当に困ってて、でも誰も助けてくれなくて泣きそうだったのありがとう!まさか如月さんが助けてくれるなんて思いもしなかった!」


「別に…」



…なんだろう。


なんか、こそばゆいと言うか、むずむずすると言うか…。



なんとも言えない気持ちが込み上げてきて、思わず顔をしかめてしまう。



「あ、違うの!悪い意味とかじゃなくて、その、なんて言うんだろう…。私、入学式の日に馴れ馴れしく話しかけちゃって、失敗しちゃったじゃん?距離感考えられないの昔からの私の悪い癖なんだ。それで嫌な思いさせちゃって、如月さんにきっと嫌われちゃっただろうなーって思ってたから、助けてくれて嬉しかったの」