夜が明けたら君に幸せを。

「あす…」


「私じゃない人に、話しかけて」



花音と話していた明日香が冷たく言い放った。


俺の記憶の中の明日香と随分雰囲気が違う。



不思議に思っていると、チラリと見えた明日香の横顔がどこか悲しそうなことに気づく。



「…あ、そうか」



これはタイムリープとかじゃない。


明日香を助けるために俺は今ここにいるんだ。


何か大きなものを抱えて苦しんでいる明日香を救うために、俺はこの世界に来たんだ。



「明日香って名前、可愛いね」



それなら俺のすることはただ一つ。


明日香を暗闇から連れ出す。



「…あの。汐江くん、おはよう」



最初は心を閉ざしていた明日香だったけど、段々と変わってきた。



「一歩を踏み出すことで見える世界が変わるんだって私は知った。だから汐江くんも、今はまだ怖いかもしれないけどもう一度、大切な誰かを作ったっていいんじゃないかな…」