フェリチタの木の下で、二人はしばらく抱きしめあっていた。グルは大きく息を吸い込み、意をけっして、エルモに話しかける。


「あ、あのさ……エルモ。俺、エルモに伝えたいことがある」


 グルに肩を押されて抱き合う形から、エルモはグルと見つめあう形になる。フェリチタの木の下でグルはマーガレットを、エルモに差し出して大声を上げた。

「俺はこれからもエルモの側にいたい。まだあって間もないがエルモを守りたい。エルモを必ず幸せにする……俺と付き合って欲しい!!」

 とても、嬉しいグルの言葉だった――その言葉にエルモはグルに飛び付きたかったけど。

(私だって……)

 告白にいつまで経っても返事が返ってこず、差し出したマーガレットを受け取らない、エルモをグルは見て声を上げる。

 そこには"ふくれっ面"のエルモがいた。

「はぁ? なんだよ! その膨れっ面は!」

 いきなりのエルモの行動に、グレとチタも驚く。

「おい、エルモちゃん! いまの流れでそれは酷いぞ!」

「そうだ~、酷いぞ、人間~!」

(わかっている。言うのに勇気がいるの――がんばれ私、自分の気持ちをグルさんに言うのよ!)

「エルモ?」

 一人では……

「嫌よ」

(あ、緊張して声が出ない……ちゃんと、グルさんに伝えたいのに。いまの私の言葉に、グルさんが悲しい顔しちゃった)

「え、俺が嫌なのか?」

「違う!」

 エルモはグルから強引にマーガレットの花束を奪い取り。

 叫んだ。

「…………わ、私だって、グルさんを守り、グルさんを幸せにしたいの。私もグルさんの笑顔を見たい。二人、一緒に幸せになりたいの。私だけではダメ、あなたも一緒がいい――の!」

(はじめて、暑くて湯気がでそう……)

 告白したあと、身体中を真っ赤にさせたエルモは、グルに貰ったマーガレットに顔を埋めた。

 エルモは精一杯、グルに伝わるように伝えたのだ。

 あなたと一緒がいいのだと……。