いきなりグルの手が肩を持ち、エルモを振り向かせる。そのときの――エルモの表情を見たグルは眉をひそめた。

「エルモ、ごめん……エルモには知らない話ばかりだったな……」

 焦るグルに。

「私は平気よ(慣れているし)私達は最近会ったばかりなのだもの、知らないのは当たり前だわ。気にしなくていいのよ」

 やんわり言ったつもりのエルモ、その物言いに、ますますグルの眉間のシワは深くなる。

「気にして、気になるって、怒れよ!」

 グルに強引に手を引かれて、その腕になかに、キツくエルモは抱きしめられた。

「あークソッ。初めてエルモに会った、あの日の――悲しく、寂しい瞳だ。させたくないと思っていたのに。エルモ、俺達は、お互いに知らないことばかりだ。だから、もっと話そう俺はエルモのことを知りたい、エルモも俺を知ってくれ!」
 
「グルさん……」

 知らない私が話しかけて、楽しい雰囲気を壊したくないし、聞くのはワガママだと思っていた。聞いてもいいんだ。嬉しい……寂しい感じていたエルモの心が一瞬でポカポカに温かくなった。なんて素敵で優しい人と出会えたのだろうか。エルモは嬉しくて、その言葉に応えようと、力を込めてグルを抱きしめた。