今日のバイトも終わり。
 エルモはおばさんとおじさんにパンと高級チーズの塊を貰った。
 
(このチーズを使って夕飯は何を作ろうかなぁ? ジャガイモのチーズ焼き、ピザパンを作る? それともチーズハンバーグ……あ、チーズフォンデュなんでどう?)

 チーズフォンデュの作り方は。チーズに小麦粉をまぶして小鍋にニンニクを塗り、白ワインを温めてチーズをゆっくり溶かす。あとは貰ったパンを食べやすく切って、ソーセージとベーコンを焼き、野菜も茹でてトロトロに溶けたチーズを付けて食べる。

(美味しそう。チーズフォンデュ、グルさんとグレちゃんは喜んでくれるかな?)

 街の門まで来ると黒いローブ姿のグルと、今日はグレの姿も見えた。

「あ、グルさん、グレちゃん!」

「エルモ、おつかれさま」
「グー」

 二人の元に急いで駆け寄るとグルに抱っこされたグレは、エルモに抱っこしてと手を伸ばしてくる――パンの袋をグルに渡して、グレを抱っこした。

「お迎えありがとう、グルさん、グレちゃん。今日はチーズを貰ったから。夕飯はね、チーズフォンデュにしようと思うの、どう?」

 喜んでくれると思い伝えたのだけど、二人は不思議な顔を浮かべて首を傾げた。

「チーズフォンデュってなんだ?」

「グー」

(屋敷にいた頃、似たような食べ物があったからか、コッチでも馴染みのある食べ物だと思っていたけど……グルさん、グレちゃんはチーズフォンデュ初めてなのか)

「エルモ、チーズフォンデュとは、どんな食べ物だ?」

「ギャオン?」

 ――えっと。

「チーズフォンデュはね。トロトロに溶かしたチーズに、パン、ソーセージ、ベーコン、ブロッコリー、ジャガイモなどのお野菜を付けて食べる料理よ」

「なに、トロトロのチーズにパンとソーセージ、ベーコン、野菜つけて食べる料理? 美味そう、楽しみだな、グレ」

「ギャオーン」

 ――フフッ、楽しみかぁ、帰ったら美味しく作らなくちゃね。