もらった家の中は。カーテンのない大きな窓、その窓がわには部屋の半分を埋めつくすクイーンサイズのベッド、食事がとれる二人掛けの食卓に、タイル張りの小さなキッチンがあった。

 奥の書斎には本が山積み、トイレ、お風呂と一人で住むには十分な広さだ。

「前の住人はよほど、お化けが怖くて家具を置いて出ていってしまったのね。フフ、お化けか……あってみたい」

 家の中を一通り見てワンピースの袖をまくり、

「まずはじめに、お布団から干しましょう!」
 
 窓を全開にして窓枠に布団をだした。

 外で拾って来た長い棒にハンカチをくくり付けて、上から埃を落として床を拭こうと、水道の蛇口を捻ったけど水がでない。

 もしかして――元栓がしまっているのかと家の周りを探してみたけどなく、井戸も見つからなかった。

「水がないのは困った、どうする?」