グルに守られてホッとしたけど。
 嫌な夢だった。エルモはエルドラッド、リリアを恨むことなく婚約破棄されているし。夢を見るまで熱病になる薬草のことすら、エルモは忘れていたのだ。

 このまま何事も起こらないといいのだけど。

 不安を胸にエルモは身なりを整えて、グルとグレにメイプルシロップがたっぷの、フレンチトーストの食事をつくりはじめる。

 ボールに卵と牛乳、砂糖を混ぜて、フォークでさした食パンをヒタヒタにひたした。次にフライパンにバターを溶かして、パンを入れて、弱火で両面じっくり焼く。

「いいにおい」

 グレは甘い香りにゴクッと喉を鳴らして、エルモを足元から見上げた。

「もうすぐ、フレンチトーストできるから待っていてね」

「やった。昼メシ、エルモちゃんのフレンチトーストだ!」
「ああ、楽しみだ。エルモ、なにか手伝うか?」

「はい、グルさんはコーヒーをいれてかださい」

「まかせろ!」と、グルはお湯を沸かしはじめた。