お前がいないとダメなんだ



「じゃあさ、もし私がゾンビになっちゃったらどうする?」


「縁起でもねぇこと言うな」


「え、じゃあさ、…どうしたの?」


 私が彼に尋ねようとすると、私がベランダの柵に置いていた手に温もりを感じた。


 視線を下げると、私の右手に彼の左手が重なっていた。


「…なんとなく」


「なんとなく?」


 そして彼の手は、さらに強く私の右手を握り締めた。


「…行くなよ」


「えっ?」


「どこにも行くなよ」


 彼のその声は、どこか泣きそうだった。


「えっ、もしかして私がゾンビになるって話、本気にしたの!?…うわっ」


 しんみりとした雰囲気をどうにかしたくて、場違いなほど明るくそう言ったら、急に彼に抱きしめられた。