「あの女もそう思ったはずだ、今なら誘惑出来ると」

私の考えを殿下はお読みになったように仰いました。


「公爵閣下にあの女に対する好意はありました
 それはご本人も認めています
 ですが、決して女性としてではなく……
 重ねて見ていたと、後から聞きました」


エドガー様は辛そうに話されていて、この方に
とっても、公爵閣下は大切な存在だったと気付きました。


「叔母上のラーラ公妃は元陛下の妃候補で、あの女と同じく幼い頃から皇宮へ通っていたんだ」

「では閣下は、公妃様と幼いクリスティン様を
重ねて見ていたと、いうことですね」

「だからと言って、あの女とふたりで会う、
 特別な言葉をかける等の
 誤解されるような態度を取った覚えはないと
 閣下は断言されました」

「叔父上は皇家の男だ
 幼い頃から5歳年上の叔母上に愛を捧げて、
皇太子妃候補を辞退させたくらい、叔母上一筋
なんだ……今も」

「公爵閣下ご夫妻の仲の良さは帝国内で有名でした
 閣下がご成人になられるのを待って、直ぐに
婚姻し、翌年には第1子ジュノー公子がお生まれになっています
 更に2年後にはフローラ公女もお生まれになったので、お幸せなご家族の絵姿は皇族方の中でも一番人気でした」