そのときパッと目が開いた。

 驚いて肩をすくめると、よいしょと声を出しその場に座って真正面で向き合った。疑問符を浮かべて首を傾げたらそのままなぜか顔が近づいてきて思わずギュッと目を瞑った。

 でも身構えたものの何も起こらずゆっくりと細目を開けてみた。

「よく似合ってる」

 気づけば首元にひんやりとしたものが触れ、急いで枕元の鏡を手に取った。自分の姿を呆然と見ていたら、後ろでふわっとすくい上げられた髪がさらさらと背中に流れ落ちた。

「誕生日プレゼントだ。何が好きかわからなかったから無難なもので悪いが」
「素敵」

 大きなダイヤモンドのペンダントが首元の中央で輝いていて、そっと胸に手を当てたら小さく吐息が漏れた。

「素敵です!」

 後ろに立っていた一哉さんを鏡越しに見て勢いよく振り返る。今までもプレゼントをもらうことはあったけれどこんなに嬉しいのは初めてで、誰にもらったものより一番嬉しくかった。

「大事にします」

 顔がニヤつくのを抑えられずネックレスに触れながら幸せをかみしめる。今だけはこの人の妻でいたいと心の底から感じていた。

「結」
「はい?」

 すると目の前が急に覆いつくされた。

 優しく唇が触れあったかと思ったら、そのまま何度も角度を変えて重なり続ける。息する間もなく激しくなるキスに頭がぼーっとしてきて、気づいたときには布団の中で横たわっていた。

「あの、今日お仕事は」

 視界は覆いかぶさる彼に埋め尽くされ、我に返った途端一気に恥ずかしくなった。