まもなく離縁予定ですが、冷徹御曹司の跡継ぎを授かりました

「心当たりは? もしそうならお客様のお迎えは任せられません。私が代わります」


 妊娠――。

 そのふた文字に冷や汗が出て自然と手がそっとお腹に触れていた。


 最後に生理がきたのはいつだろう。京都に行く少し前、もう二ヶ月近く経っている。忙しさにかまけて全然気にしていなかった。

「でもそんなはず」

 可能性があるとしたらあのホテルでの一度っきりだ。でももうすぐ離れ離れになる私たちの関係で妊娠なんてあってはいけないことなのに、その可能性を否定しきれない自分にだんだんと青ざめていく。

「式典まで時間があります。少し休みなさい」

 私の代わりに出て行く女将にお礼を言う余裕もなく、ひとりになった途端いろんな感情がぐちゃぐちゃになって頭の中を混乱させた。

 もし妊娠していたとしても一哉さんに言うわけにはいかない。一度の過ちで、一時の感情に任せた行動でできた子供は自分と同じ境遇になってしまうと責任を感じるはずだ。

 あれほど結婚するつもりも子供を持つつもりもないと言っていた彼を無理に縛り付けたくはなかった。