「相屋の名代として参りました、相馬巧です」
入り口の方から聞こえてくる声に激しくなる鼓動はおさまらない。持ち場を離れるわけにはいかないのに彼がいては戻るに戻れず、暖簾の隙間かれちらちらと様子を伺いながら動けずにいた。
「ひどい顔よ」
そこへ後ろから女将が現れ大きなため息をつかれた。
「ここ最近ほとんど食べていないそうね。おにぎりを作らせたから少しでもお腹に入れなさい。無理をしたっていいことは何もないわ」
近くの椅子に座るよう背中に手を添えられ、おにぎりにかかっていたラップがサッと外される。
「うっ」
その瞬間、机の上から立ち上った炊き立てのふんわりとした匂いが嗅覚を刺激して込み上げる何かに気分が悪くなった。
口元を押さえながら洗面台へと急ぎ、手をついて思いっきり咳き込んだ。
「すみません、本当に何もいらないんです」
涙目になりながら持ち場に戻ろうとしたら、女将に肩を触れられ引き止められる。
「いつからです」
「あ、いえ。きっと緊張しているせいだと思うので何かの病気とかじゃ」
「妊娠してるんじゃない?」
言葉を失った。
あまりの衝撃に取り繕った笑顔も瞬時に消えていく。
入り口の方から聞こえてくる声に激しくなる鼓動はおさまらない。持ち場を離れるわけにはいかないのに彼がいては戻るに戻れず、暖簾の隙間かれちらちらと様子を伺いながら動けずにいた。
「ひどい顔よ」
そこへ後ろから女将が現れ大きなため息をつかれた。
「ここ最近ほとんど食べていないそうね。おにぎりを作らせたから少しでもお腹に入れなさい。無理をしたっていいことは何もないわ」
近くの椅子に座るよう背中に手を添えられ、おにぎりにかかっていたラップがサッと外される。
「うっ」
その瞬間、机の上から立ち上った炊き立てのふんわりとした匂いが嗅覚を刺激して込み上げる何かに気分が悪くなった。
口元を押さえながら洗面台へと急ぎ、手をついて思いっきり咳き込んだ。
「すみません、本当に何もいらないんです」
涙目になりながら持ち場に戻ろうとしたら、女将に肩を触れられ引き止められる。
「いつからです」
「あ、いえ。きっと緊張しているせいだと思うので何かの病気とかじゃ」
「妊娠してるんじゃない?」
言葉を失った。
あまりの衝撃に取り繕った笑顔も瞬時に消えていく。


