まもなく離縁予定ですが、冷徹御曹司の跡継ぎを授かりました

「ようこそおいでくださいました」

 栞里さんの後ろからは月島リゾートの大株主だという緒方家一同がぞろぞろと現れ、その雰囲気に圧倒されていた。彼女になぜかじっと見つめられ、居心地悪く目を逸らしてみたら鼻で笑うように息が漏れた。

「くれぐれも恥をかかへんように気いつけてな」
「え」
「身の丈に合わへんことするとボロが出る。ただでさえ嘘下手なんやさかいなあ」

 京都で彼女に問い詰められたとき、肯定も否定もしなかったものの同じ契約結婚を提案されたもの同士私と一哉さんの関係には気づかれている。

「すぐに別の者が中までご案内しますので、お預かりするお荷物などありましたらこちらに」

 私は何事もなかったかのように振る舞うので必死だった。

 悔しそうな彼女は緒方家の面々と共に消えていき、圧から解き放たれたら急に気が抜けて目の前がチカチカし出した。ふらっと立ちくらみがして倒れると思った瞬間、だれかの手に支えられたのが分かり私の目がすぐにその人物をとらえた。

「大丈夫?」

 肩を支えていたその声の主は懐かしき巧さんだった。

「すみません、失礼します」

 慌てて裏の事務室に逃げ込んだ私は動揺をおさえきれず、心の準備もできていないまま突然再会だなんて心臓に悪すぎると思った。