話終えたあと、幸福感でいっぱいになりながら最後に国治さんに抱きついた。
こんな風に全てを人に話したのは初めてで、頭ごなしに否定せずに聞いて貰えたことが何よりも嬉しかった。
感謝の気持ちと、密かに好きだという気持ち。それらを行動で表したくて国治さんに抱きついた。
国治さんなら、うんと年下の女の子の一時の感情に任せた行動だって目をつむってくれるだろう。
国治さんを都合よくいまだけ年上の旦那様にして、ぎゅうっと抱きつく。
好きです。私を家族にしてくれてありがとう。大好き。
そんな気持ちを込めて。
そうして体を離そうとした時、国治さんからも抱きしめ返された。
「……えっ、ええ?」
「……なんですか、僕だって琴子さんをぎゅうってしたい」
「そ、そうなんですか?」
「うん。そうなんだ。ああ、すごいな……琴子さんてこんなに……」
逞しい腕が、背中に回っている感触。嫌悪感なんてない、安心できる。
だけど、いきなりこんな近くて、意識し始めたら心臓がドキドキと跳ねる。
「こんなにって、なんです? 胸が小さいとか言ったら部屋から締め出しますよ!」
国治さんは、タガが外れたように私をぎゅうぎゅうに抱きしめる。
「あはは! そんなこと思ったりしない、僕が他人を抱き締めたの初めてだから比べようがない!」
完全にはしゃいだ国治さんに、私も可笑しくなってきてしまった。
「じゃあ、これからも比べないで下さいね」
「わかった、誰にもこんなことはしないよ。琴子さんだけだ」
勢いに任せて言ってみると、国治さんも同じテンションで答えてくれた。
まるで、本物の好きあった恋人みたいに。
私たちは笑いあって、お互いの形を今更確かめるように抱きしめ合った。
翌日の恥ずかしさといったら、もう言葉にできないものだった。
挨拶もままならなく、目が合えばお互いに固まってしまう。
照れてギクシャクしながも、「行ってきます」と元気に伝えて出勤のために家を出た。
退勤後。スマホには母親の着信が並んでいた。
嫌な予感がしてかけ直してみると、妹がホテル『sakazaki』で暴れて警察に拘留されているという。
血の気が引く。まさか、国治さんやホテルに迷惑をかけるなんて。
がくがく震え始める足を叩いて、タクシーを捕まえて警察署へ向かった。
こんな風に全てを人に話したのは初めてで、頭ごなしに否定せずに聞いて貰えたことが何よりも嬉しかった。
感謝の気持ちと、密かに好きだという気持ち。それらを行動で表したくて国治さんに抱きついた。
国治さんなら、うんと年下の女の子の一時の感情に任せた行動だって目をつむってくれるだろう。
国治さんを都合よくいまだけ年上の旦那様にして、ぎゅうっと抱きつく。
好きです。私を家族にしてくれてありがとう。大好き。
そんな気持ちを込めて。
そうして体を離そうとした時、国治さんからも抱きしめ返された。
「……えっ、ええ?」
「……なんですか、僕だって琴子さんをぎゅうってしたい」
「そ、そうなんですか?」
「うん。そうなんだ。ああ、すごいな……琴子さんてこんなに……」
逞しい腕が、背中に回っている感触。嫌悪感なんてない、安心できる。
だけど、いきなりこんな近くて、意識し始めたら心臓がドキドキと跳ねる。
「こんなにって、なんです? 胸が小さいとか言ったら部屋から締め出しますよ!」
国治さんは、タガが外れたように私をぎゅうぎゅうに抱きしめる。
「あはは! そんなこと思ったりしない、僕が他人を抱き締めたの初めてだから比べようがない!」
完全にはしゃいだ国治さんに、私も可笑しくなってきてしまった。
「じゃあ、これからも比べないで下さいね」
「わかった、誰にもこんなことはしないよ。琴子さんだけだ」
勢いに任せて言ってみると、国治さんも同じテンションで答えてくれた。
まるで、本物の好きあった恋人みたいに。
私たちは笑いあって、お互いの形を今更確かめるように抱きしめ合った。
翌日の恥ずかしさといったら、もう言葉にできないものだった。
挨拶もままならなく、目が合えばお互いに固まってしまう。
照れてギクシャクしながも、「行ってきます」と元気に伝えて出勤のために家を出た。
退勤後。スマホには母親の着信が並んでいた。
嫌な予感がしてかけ直してみると、妹がホテル『sakazaki』で暴れて警察に拘留されているという。
血の気が引く。まさか、国治さんやホテルに迷惑をかけるなんて。
がくがく震え始める足を叩いて、タクシーを捕まえて警察署へ向かった。



