(そうよ、私は悪くない
結婚式だっていうのに笑顔を見せない旦那様
夫婦の寝室だって、用意されていなかった)

(そうだ、そうだ、私は悪くない!
ちゃんとお風呂で磨いてもらって
こんなヒラヒラだって、嫌いなのに我慢した)

朝早くから起こされて。
1日満足に食べていませんでした。
披露宴だって、目の前に並べられたご馳走に手を出せなくて。
お客様に御祝いのお言葉を戴きながら。
私は虚ろに笑うしか出来なくて。
頭のなかは、『食べたい食べたい食べたい』しか。

それなのに、隣の席では。
旦那様は、思うがまま酒池肉林を繰り広げられて。
(いやいや、肉林はしていなかったけれども)

早めに席を立たされて、宴から退いた私は、これで何か食べられる!と喜んだのに。
そのまま、お風呂で磨きたてられて。
口にしたのは、お風呂上がりの果実水のみ。
奥様付き?メイドから差し出された夜着は。
……ヒラヒラの付いたスケスケ。

そんな屈辱的で羞恥の塊に上からガウンを羽織って、長い廊下を歩いて旦那様の寝室にたどり着いたのです。

そして『どーぞ、お召し上がりになって』状態で待ってた私に。
待たせた旦那様は叫ばれました。

「君とは白い結婚だ!」と。

取り敢えず、今夜は免れましたが、明日は逃げられないでしょう。
対策を練ろうと、ふかふかのベッドに飛び込みました。
そのつもりだったのに。

お夜食を頼む事も出来なくなったのが辛い。
私の頭のなかは『お腹空いた空いた空いた』ばっかりで。

(この恨み、忘れまじ)

空腹でしたが、慌ただしかった1日の疲れで私はすぐに、熟睡してしまったのです。