巫女役に選ばれた娘は、必ず神様に捧げ物を届けなくてはならない。もしも届けることができなかった場合、村が滅びてしまうと言われているからである。
「どうしよう……!」
巫女役としての務めが果たせなくては、珠子たちに顔向けができない。体を震わせながら紫乃は箱に手を伸ばす。手は氷のように冷たくなっており、箱の感触を感じることができなくなっていた。そんな手で箱を開けることは困難な作業であり、たかが箱を開ける動作に数分も費やしてしまう。
箱の中身は、どれも傷付いてはいなかった。日本酒の入った瓶も割れておらず、紫乃はホッとして息を吐く。たが、安心するのはまだ早い。神社へはまだ歩かなくてはならないのだ。
「早く神様に届けなきゃ……」
だが、座り込んでしまった体はもう思うように動かせない。体力が限界なのだ。立ち上がろうとした瞬間に力が一気に抜け、紫乃の体は雪の中に倒れる。自分の体に雪が優しく積もっていく中、紫乃の意識はだんだんとぼんやりしていった。
「どうしよう……!」
巫女役としての務めが果たせなくては、珠子たちに顔向けができない。体を震わせながら紫乃は箱に手を伸ばす。手は氷のように冷たくなっており、箱の感触を感じることができなくなっていた。そんな手で箱を開けることは困難な作業であり、たかが箱を開ける動作に数分も費やしてしまう。
箱の中身は、どれも傷付いてはいなかった。日本酒の入った瓶も割れておらず、紫乃はホッとして息を吐く。たが、安心するのはまだ早い。神社へはまだ歩かなくてはならないのだ。
「早く神様に届けなきゃ……」
だが、座り込んでしまった体はもう思うように動かせない。体力が限界なのだ。立ち上がろうとした瞬間に力が一気に抜け、紫乃の体は雪の中に倒れる。自分の体に雪が優しく積もっていく中、紫乃の意識はだんだんとぼんやりしていった。

