あどけなさがあって、子供みたいで。

眠り姫みたいだった。

そっと唇に触れれば、柔らかくて。

何度も何度もこの唇にキスしたよな。

キスなんか、女を落とすためにしかしたことなかったのに。

だけど……なんか違う。

したいって思ってするのは初めて。

「ん……お母、さん……おと、さん……」

毎日こうやって、泣きながら寝て生きてきたのかな。

……親と疎遠になっちまった俺には、叶恋の気持ちがわからねーんだ。

「俺がそばにいるよ」

涙を拭って、手を握った。

ひとりになんてさせない。

俺が叶恋のそばにいるから。

そんなことを思いながら、目を閉じた。