お隣のヤクザに要注意Ⅰ

小さい手。

だけどちゃんと俺の手を握ってるあたり可愛くて。

俺も酔ってるかも。

屋上に行けば、心地いい風がした。

「わぁ……広い」

「別荘だからなー」

山を登ってきたから、景色も綺麗だし。

目をキラキラさせる叶恋ちゃん可愛いまじで。

「……あんなキラキラしてるのに、私だけ時間が止まってるみたい」

「え?」

寂しそうに街の景色を見る叶恋。

「なんでもない」

キラキラした所……か。

俺も叶恋くらいの歳の頃はそう思ってた。

ちょうど組に入ったばっかで。

なんで世はキラキラ輝いてんのに、俺だけ真っ黒で汚いんだろって。