お隣のヤクザに要注意Ⅰ

「そんなこと言ったって……殺し屋やってる時点でヤクザの下で生きてるのに変わりないのに」

「叶恋……」

さっきよりはもうマシになってきたかも。

「お母さんとお父さんのこと、裏切るなんてしたくないっ……」

「ちょ、叶恋ちゃん痛み悪化するって」

ぼろぼろ流れる涙。

拭っても拭っても、止まることを知らない。

「叶恋は12年前のこと、詳しく知ってんの?」

「……よく知らないの」

「当時6歳だったんだ。しょうがないだろう」

しょうがなくなんか、ない。

私はあの時の光景しか知らなかったんだ。

目の前で、ただただ広がってくふたりの血。

「花園叶恋、白銀組に入れば12年前のことも知れるし安全だぞ」

シュウさんがしゃがんでそう言った。