「叶恋ちゃんの両親は……亡くなってるのか?」

ピクっと叶恋ちゃんの指が動いた。

「……12年前、私が6歳の時。目の前で殺されたんだよ……ヤクザにっ……」

手のひらを見つめる叶恋ちゃん。

その姿は、今にも消えそうで。

殺し屋とか、そんなのどうでもいい。

「ごめん叶恋ちゃん」

昨日会ったばっかだけど。

抵抗もしない叶恋ちゃんを抱きしめた。

「……もう話は終わり?」

「……ん」

本当はもっとあったけど、今はいい気がしてきた。

「じゃあ、帰って」

「……無理」

この日、俺の中で花園叶恋の存在は大きくなった。

ガキみたいなこいつを……守りたいと思えた。