てか、ユイと葉山さんいない。

荷物もないし、帰ったのか。

「ごめん羅虎……考え事してた」

「いやいいけど。……考え込むなよ」

こくん、と頷いた。

「花園、もう一度事件の当日のこと思い出せるか」

あの日のこと……?

「当時6歳で記憶も薄れてるだろうが……覚えてることだけ教えてほしいんだ」

……冬だったな。

「……雪の降る冷たい冬だった。気づいたら目の前にふたりの血が広がってて。……ひとりの男が私の頭を撫でて、謝ってきた」

「……ひとりの男?」

シュウさんの問いに頷いた。

「その人、私のことお嬢ちゃんって呼んでた。その後は目の前が真っ暗になって息が苦しくて、そのまま意識をなくした」

気づいたら病院に運ばれた後だったな。