うっ……ユイにはなんでもお見通しかな。

「ユイ、場所移動しよ」

「わかった」

話し込んでいる羅虎や組長たちを放って、ユイと一緒に部屋を出た。

バルコニーに行こうかな。

そこなら誰にも邪魔されずに話せる。

行ってみると案の定バルコニーは誰もいなかった。

「で、何考えてるの」

「……あの時も、今も。結局私見てるだけなんだなって思って」

また、大切な人を失うかもしれないのに。

なのに……力不足な自分にイラつく。

「カノは充分強くなったよ。初めて会った時よりもずっとずっと、強くて目に光が入った」

「でも、私は今目の前が真っ暗だよ。何をどうすればいいのか、わからない……」

どうしたら、お母さんとお父さんがヤクザだっていう事実を受け止められる?

「過去は変わらない。私が1番よくわかってる。それなのに……受け止めたくないって自分がいる」