「虎、お前には叶恋ちゃんがいるんだぞ。お前ひとりだけの命じゃない。神楽組は俺らが思ってるよりもはるかに危険だ」

「それ言ったらお前だってユイが……」

あの頃と違う。

虎には叶恋ちゃんがいて、俺にはユイがいる。

だから。

「だからこれは賭けだ」

「賭け……?」

心配そうに静かに涙を流す叶恋ちゃんの頭を撫でた。

「初めて俺らにできた女の子の元に無事帰ってくることができるかどうかって賭け」

「お前……」

「神は残酷すぎるからな。俺と虎の神への賭けだ」

それに、ふたりなら大丈夫。

俺らはずっと手を取り合って生きてきたんだ。

舐められてもらっちゃ困るんだよ。

「組長、行かせてください」