お隣のヤクザに要注意Ⅰ

飽きたって言ってたのに、どうして父さんにしがみついていたいんだろ。

「羅虎、今日は外で食べよう」

「うん……」

父さんは俺を抱っこしたまま家を後にした。

車に乗せられて、頬に冷たいタオルをあてられた。

「今は冬だから、すぐ乾かない。あててなさい」

「父さん……ありがとう」

その日食べたご飯は、あまり味がしなかった。

確かお寿司屋に行って、父さんも俺もあまり食べてなかった。

「……羅虎、母さんと離れることになるけど大丈夫か?」

お茶を飲みながらそう言った父さん。

「うん。俺父さんと一緒にいたい」

「ごめんな……お前を傷つけてしまって」

父さんは何も悪くないのに……なんで謝るんだろ。

むしろ、感謝してるのに。