「羅虎、まずは落ち着くんだ。その頬はどうした?」

「っこれは、母さんが連れてきた男に殴られて」

「……男?」

父さんの顔色と声が変わった。

「わかった。羅虎、父さんがついてるから大丈夫だ。一緒に行こうか」

「うん……父さんは、俺のこと好き?」

抱っこしてくれた父さんにそう聞いた。

父さんは可笑しそうに笑うと、

「当たり前だろ?お前は父さんの世界でたったひとりの息子だからな。誰よりも大切で、愛しいよ」

あぁ……父さんのこの表情と言葉は、本物だ。

それだけで胸が温かくなって充分だった。

2階の母さんの部屋に行けば、ふたりは盛り上がっている最中で。

「おい」

けど、そんな父さんの声で一気に静まった。

聞いたことない程低く冷たい声。