たまに虎が遊んでた女が話しかけてきたりする。

その度に少しもやもやして。

いつか虎がどこかに行っちゃうんじゃないかって不安になる。

それはまだ虎と繋がってないからなのかな。

繋がることができたら安心するのかな。

いくらでも待つって言ってくれたし、虎のことを信じたい。

でも私は虎を困らせたくない。

「……ん?」

もう何十冊目かわからないファイルをめくって手が止まった。

名簿の名前を見て息を呑んだ。

“成瀬羅虎”……?

これまで名簿を見てきたけど、虎なんて文字は見てない。

そういえば……虎が名前なわけない。

そうだ私、なんで今まで気づかなかったんだろう。

みんな虎って呼ぶから気づかなかった。