「また来年も花火しようね」

「もちろん」

ロウソクの火を消して、空を見上げた。

昨日みたく綺麗な夜空。

「俺さ……去年まで海に来ても楽しめなかったんだ」

「え、そうなの……?」

毎年恒例の対決もして、美味いもんも食って……今年と変わらない過ごし方。

でもなんかつまんなくて。

「なんだろなぁ……何かが空っぽで、元々綺麗なもんは見たくなかったから退屈だったんかな。海も貝殻もこの星も……無駄に綺麗なんだよ」

嫌なのに、夜になればなんとなく見てしまう。

海だって去年までの俺なら女を理由にして断ることだってできたんだ。

なのに……なぜかできなくて。

手に温もりを感じて隣を見れば、ちっちぇー手で俺の手を握る叶恋がいて。

あぁ、俺はもう……ひとりじゃないんだな。