頑張って逸らそうとしても、虎がそれを許してくれない。

「あの時、って?」

「初めて俺の家に来た時、ソファに押し倒した時と同じような顔」

っ……鋭い。

「虎……」

「ん?」

すごく優しい声。

他のヤクザと虎は違う。

でもあいつはヤクザじゃなくて。

「なぁ、誰のこと考えてる?」

「っえ」

少しだけ不機嫌になった虎。

「元彼の夢?」

虎さんは今日も鋭いですね。

無駄に勘がいいんだから。

虎に嘘はつけないしつきたくないからこくんっと頷いた。