っ……バカみたい。

ヤクザらしくない、律儀な虎。

ヤクザになる前の虎は、どんな性格だったのかな。

今と変わらないのかな。

ゆっくり……ほんのちょっとだけでもいいから知れたらいいな。

「まだあいつらの騒がしい声するな」

「あと10分だけここにいよ」

「叶恋から誘ってくるなんて珍し。明日の天気雨でも降るんじゃね」

「……帰る」

「嘘!まじ嘘!ごめんて」


私は今日この日を一生忘れられないだろうな。

時間も何もかも忘れて過ごせるのは虎の前だけ。

明日も明後日ももちろん、来年も再来年もずっとずっと虎と一緒にいるんだって。

そう信じていたい。