「ほら、早く!」

ぎゅっと私の手を握って急がせる虎はいつもよりはしゃいでる。

子供っぽい虎はあまり見れないから貴重かも。

「足元悪いから気ぃつけなよ?」

「……心配で手繋いでるの?」

「っ……悪いかよ」

ほんのり耳を赤くさせた虎。

今までそんな理由で私と手を繋いだ人はいなくて、触れる手が大きくて。

……体が火照るのは、気温が高いからだもん。

こうして、私達の海旅行は始まった。