「虎」

シュウさんに呼ばれて顔を上げれば、いつにもなく真剣な顔をしていて。

言いたいことがすぐにわかった。

「……俺の女になるその時までは手を出すつもりはないっすよ。今までの女とは違う。叶恋は……俺にとって特別で、本気で愛するって決めた女だから」

じゃなきゃ叶恋の両親に頭下げたり、他の男に嫉妬なんてしない。

中途半端な覚悟であいつを独占してるわけじゃないから。

「俺らにとっては虎、お前も大事なんだからな?虎と叶恋が傷つくのだけはごめんだ」

「シュウさん……」

「お前の全部であの子を愛してやれ。嫌なもの全部忘れられるくらい、な」

シュウさんはそう言うと、部屋を出ていった。

ほんと……シュウさんには敵わないな。

「はぁ……叶恋に会いてぇ」

「組長〜虎末期レベルだよ」

「見てておもしろいからいいだろ」

叶恋に振り回されてる時点で、俺もバカな男ってわけ。