理想を描いて現実にもがいてしがみつく俺ら。

悲しい顔なんか見たくない。

ガキなんて放っときゃ誰かが助けるのに、心良く人助けするなんて……それで結果「家族」っていう存在に触れて傷ついてバカな女だよほんと。

それでも……叶恋らしいとさえ思えた。

「……ら、虎、おい虎」

「っ組長……」

我に返れば、組長が何度も俺を呼んでて。

全然聞いてなかった……やっべ。

「すいやせん組長……考え事してた」

「別に構わないが……周り見れなくなるのはお前らしくないからな、気をつけるんだぞ。お前は白銀組の虎である前に昔から名のしれた男なんだから」

「……わかってますよ、痛いくらいに」

俺が周りから、世間からどう見られてるかってことくらい。

ただ今は、そばに叶恋がいるから守るものがいるってだけ。

「そんで組長、海はいつにするんだ?組の奴ら張り切ってんぞ。今年は叶恋がいるから」

「あー……海の管理人に言わねぇとな」