「周りなんか見えない。それくらい……お前に夢中なんだよ俺は」

っ……なに、それ。

心臓が、ありえないくらい締め付けられる。

こんなにも虎が素で接してくれるなんて今までになくて。

すぐいつもの虎に戻ってたから……。

「顔赤いってことは……少しは意識してる?」

「っしてない、もん」

「しろよ。そのまま俺のこと好きになって」

コツン、と額を合わせてくる虎。

おかしい……男にこんなことされるの嫌で、ずっと拒絶してたのに。

なのにもう、虎を拒絶なんかできなくて。

私どうしちゃったの……。

別に好きだとか言われたわけじゃないのに。

なのになんでこんな……いや、まさかね。

私がヤクザを……虎を好きになるはずないもん。